CAPS患者・家族の会

CINCA症候群
(Chronic infantile neurological cutaneous and articular syndrome:慢性乳児神経皮膚関節炎症候群)

北米ではNOMID(新生児期発症多臓器系炎症性疾患)と呼ばれている疾患です。

  • 脳をとり巻く組織が炎症を起こすことによる慢性無菌性髄膜炎がみられます。
  • 視神経上の頭蓋内圧が大きくなることによる乳頭浮腫がみられます。
  • 膝蓋(膝頭)の骨の過成長や肥大による痛みと関節障害がみられます。
  • 炎症を示す検査値(CRP)が常に高く、慢性の炎症が認められます。
  • 精神障害や身体的障害が多くみられるが、全患者に遅滞症が認められるわけではありません。
  • 幼少期から進行性の聴覚障害がみられます。

CINCA症候群の患者は、乳児期から複数の臓器の持続性炎症が認められるため、CAPSの全患者のうち最も重篤な損傷を受けています。持続性の発疹がみられ、頻繁に生じる発熱により発疹がひどくなることが多く、多数の炎症性疾患の症状を伴います。
多くのCINCA症候群の患者が、慢性無菌性髄膜炎、頭痛、脳圧の上昇、視神経乳頭浮腫、進行性の感音性難聴(幼少期から)など、認知障害や精神的障害とともに中枢神経系の慢性炎症に苦しみます。

CINCA症候群患者に中枢神経系の症状が認められても、その全例に精神的障害が認められるわけではありません。
また、関節痛が頻繁にみられ、生活にさまざまな支障を来たすことが多くあります。患者の50%未満に、軟骨の成長に対する変化による膝蓋(膝頭)の骨の変化や肥大がみられます。これらはレントゲンで判断出来ます。

しかし、このような骨に対する変化がみられることが、CINCA症候群と診断することに対して絶対的な基準になるわけではありません。多くに全身の筋緊張の弱さ、膝の外反ないし内反位変形、ばち状指、拘縮または関節痛が認めらることがあります。

CINCA症候群のこの他の特徴
CINCA症候群患者のなかには、鞍鼻や前頭隆起など独特の顔面の特徴が認められることがありますが、これも診断に欠かすことができない基準というわけではありません。
一部の患者が、血清アミロイド値の上昇を伴う慢性炎症が何年か続いたのちアミロイドーシスを来たすことがあります。また、肝臓や脾臓の肥大がみられることもあります。

眼には通常、結膜炎、ぶどう膜炎、虹彩炎、持続性の乳頭浮腫が発現し、炎症によって脳圧が持続的に上昇することにより視神経が損傷を受けるため、進行性の視力低下も認められます。早期の診断と治療によって、症状の一部を予防し、軽減することができます。